『ヤバい予測学』(図書館からおすすめの一冊)

『不確実性の時代』という本が出版されてから約40年。現在は、無数のデータを適切に分析すれば購買、就職、投票、離婚、病気、犯罪などの人間の行動は予測可能となるそうです。購入履歴やクリック回数、クーポンの使い方などに見られる個人の決断の積み重ねが、その後の経験的決断を促し、それが集まることで、社会的予測分析につながると元コロンビア大学教授の著者は説いています。

この本は、序章から第7章までの構成です。プライバシーの攻防、ブログから集団感情を予想するデータ効果、加熱する予測からのアンサンブル効果、IBM「ワトソン」がクイズ王に挑戦する人工知能の現実、マーケティングを革新するアップリフトモデリングの数字による説得など聞きなれない言葉が多く出てきますが、データ分析からの発見に紹介されている人の行動は興味深いものがあります。例えば、「ベジタリアンは飛行機にあまり乗り遅れない」「音楽の好みは支持政党を予言する」「スポーツイベント後は犯罪が増える」「昇進は退職につながりやすい」など、起こりうる真実の探索は人の心の闇をより深くしているようです。巻末の予測分析147の事例には、米国税庁が脱税摘発を25倍に増やしたこと、ある州では誰が殺人事件の加害者や被害者になるか可能性を予測し、警官にそのエリアを巡回させていることなど、多様な実例が紹介されています。IT化が進む中で、妖怪「覚(さとり)」をかわいらしく思うのは私だけでしょうか。

小野市立図書館 和田真由

書籍情報

『ヤバい予測学』

エリック・シーゲル/著

矢羽野 薫/訳

阪急コミュニケーションズ

コラム