ナルニア国ものがたり ライオンと魔女【図書館からおすすめの一冊】


 

第二次世界大戦の頃、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィという4人のきょうだいが空襲を避けるためにロンドンの片田舎に疎開してきます。その疎開先というのが学者先生のとても広いお屋敷で、子どもたちが一日を退屈せずに暮らすには十分な場所でした。ある日、家の中に古い衣装だんすを見つけた末っ子のルーシィが、その中に潜り込んだことからこの物語が始まります。その衣装だんすとつながっていた世界というのがこの本のタイトルにもある「ナルニア国」。そこは白い魔女によって永遠の冬に閉ざされていました。最初、ルーシィの話を信じなかったピーターたちでしたが、ひょんなことから4人一緒に別世界へ入り込み、その事実に驚きます。そして、なぜナルニアが冬に閉ざされているのかなどを、もの言うけものたちから聞くのでした。そこで、偉大なるライオン王のアスランが創ったという自由の国を取り戻すべく、ルーシィたちは白い魔女に立ち向かおうとするのですが、4人の中に魔女にそそのかされたうらぎりものが存在し…。

 

シリーズ最終巻『最後の戦い』でカーネギー賞を受賞した、この「ナルニア国ものがたり」は全7巻あります。物語はそれぞれの巻で完結する冒険ファンタジーとなっているのですが、6巻目の『魔術師のおい』ではなぜ、ナルニア国が生まれたのか、なぜ、衣装だんすが別世界への入り口となったのかなどなど、その理由が明らかにされています。ですから1巻から順に読むもよし、物語が成立していく年代順に読むもよし、他の巻を読むことでさらに物語の面白さが増す構成になっています。子どもから大人までハラハラドキドキ、読み応え抜群の物語です。

 

多可町図書館 依藤 啓子

 

書籍情報

ナルニア国ものがたり『ライオンと魔女』
C.S.ルイス/作
瀬田 貞二/訳
岩波書店
 

コラム 多可町