超高速 西国33番「順打ち」巡礼編その7【10三室戸寺】OB首長~気まま旅~

第10番札所 明星山 三室戸寺(みむろとじ)

夜もすがら 月を三室戸 わけゆけば  宇治の川瀬に 立つは白波

 

宇治に佇(たたず)む 花の寺・・・風光明媚な予楽苑

三室戸寺は宇治に佇む風光明媚な寺院と聞き、幻想的な思いを抱いて訪ねたが、近接の道程は新興住宅地の中を縫って走った。しかし山門に立つと雰囲気が変わる。天皇の離宮(御室)の一部を移転させ、770年に堂舎を建てて二臂(ふたひじ)の千手観音を本尊として祀り、光仁天皇が「御室戸寺」と命名したと記録にある。宇治は京都と奈良を結ぶ交通至便の地であり景勝の地なので、光仁帝・花山帝・白川帝(3帝)の離宮を設けられたことから、「御室戸寺」が「三室戸寺」に改まったものだ。

 

唐破風の屋根をもつ風格ある本堂

 

山上、山下に伽藍が立ち並び、観音霊場として篤く信仰されてきた寺院群があり、平安時代後期の結願時(33番目の寺院)は、この寺だったと知った。巡礼を終えて京の都に戻る地理的な理由もあろうが、中興開山した「隆明僧正」という人物がいたためとも伝わる。隆明は『宇治拾遺物語』にも登場する高僧であり、瞑想(止観)の修行(外見を見るだけで悩みを言い当てることができ)広く人望を集めていたという。

 

室町時代に明星山の山頂付近から現地に堂塔が遷されたが、修験道場の位置づけが一般大衆の参詣を容易にする霊場へと変わったため、と説明されている。本堂は唐風で風格を感じさせ、厄除け・病気平癒の信仰を集める千手観世音菩薩を祀る。景観美がすばらしい「予楽苑」と名付けられた5000坪の大庭園にはツツジやアジサイが咲き誇り、四季の花々が楽しめる「花の寺」ともいわれている。

 

2万株のツツジが咲き誇る時期の予楽苑

 

【一言アドバイス】

私が訪ねたのは運悪く「花の寺」に花がない時期だったが、咲いたときの見事さは十分に想像できた。また、極楽浄土を思わせる100種類もの蓮が本堂前に開花するのも見応えがあり、楽しめる時期は6月下旬から8月上旬らしい。次回に訪ねるならば、この季節を選びたい。そうそう・・「本堂前に鎮座する牛象の口の中の玉をなでると勝運がつく」といわれているので付記しておきますね。

 

本堂前に鎮座する宝勝牛

 

 

 

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