宇宙人と出会う前に読む本【図書館からおすすめの一冊】


 
宇宙船に乗った宇宙飛行士が太陽系を出て別の星系へ行くことは、現在のところ夢物語です。星と星との間には、今の人類には克服できない距離が横たわっているからです。ですから惑星際宇宙ステーションにさまざまな惑星の住人たちが集うなど、ありえないことなのです。しかし。そこのところに拘ることなく、高度な科学技術を持つ異星人に出会えたとして、地球人である私たちは彼らと対等に会話することができるでしょうか。
 
さて、あなたがはじめて訪れた宇宙の社交場で気後れしていると、彼らの一人からさっそく問われます。
 
「あなたはどこから来たのですか」
 
これに答えて「地球」などと言おうものなら、失笑されてしまうことでしょう。地球の属する太陽系の位置を正しく伝えるには何を手掛かりにすればよいのでしょう。
 
ステーションの店でお土産のカレンダーを選びながら、見たこともない暦に戸惑っていると、ヨーダに似た店員さんからはこう尋ねられるでしょう。
 
「あなたたちの太陽はいくつですか」
 
太陽がひとつしかないなんて、宇宙の中ではむしろ珍しいことなのです。複数の太陽が次々に昇り沈みする惑星の一日は、いつが日の出でいつが日の入りなのでしょう。いわんや暦は複雑怪奇です。
 
突飛とも思える質問を矢継ぎ早に与えられ考えているうちに、広い宇宙の中では地球の常識が通用しないことがわかってきます。全宇宙で標準の教養が、新しい視野をもつ助けになってくれます。
 
ありふれた銀河の、その端っこにある小さな太陽。太陽の恩恵にあずかる私たちの地球。ここに住まう生命を含めたすべての事象が、深遠なる宇宙の神秘の一部であると感じられてくるのです。
 
いつの日にか経験するかもしれない異星生物とのファーストコンタクト。まさにその時まごつかぬよう宇宙標準の知識を備えましょう!

 

多可町図書館

 
 

書籍情報

『宇宙人と出会う前に読む本』
高水 裕一/著
講談社

 

コラム 多可町