超高速 西国33番「順打ち」巡礼編その2【OB首長~気まま旅~】

第2番札所 紀三井山 金剛宝寺(紀三井寺)

ふるさとを はるばるここに きみいでら

はなのみやこも ちかくなるらん

田辺ICから高速道路に乗り、海南ICで降りて国道を走った。第2番札所・紀三井寺に着いたのは10時。(那智山からここに直行すると4時間を要する。)

紀三井寺(大門)

正式な寺名は「紀三井山金剛宝寺護国院」だが、山内から湧き出す「三つの霊泉」から紀三井寺という通称で親しまれている。

観音菩薩は「水」との縁が深く、観音は水の精で、本性は水とされている。水は生命の源泉であり、天地にあまねく存在してこの世に根源的影響を及ぼす。水は古人には霊的な物質でありエネルギーとして信じられたようだ。紀三井寺境内の湧水「清浄水・楊柳水・吉祥水」は「日本の名水百選」に認定されている。

だが何といっても目をひくのは「平成の大観音」である。寄木造りでは日本最大の観音像であり、高さは4階建てビルに相当する12m、重さは30トン。世界平和を願って5大陸から集めた松材を使い、表面を総漆の金箔張りにした大千手観音像である。千本の手に眼が描かれ、千の眼で衆生の願いを感じ、千の手によって救済を実行されるという。その迫力と美しさには驚かされた。

平成の大観音

西国33カ所のなかで札所と札所の距離が一番遠いのが、1番青岸渡寺と2番の紀三井寺の間で、山間の中辺路ルートで約120キロという。花山法皇が練られたご詠歌から、長い距離を歩いて、やっとこの寺に着かれた時の喜びが感じ取れる。今は距離が長い海岸ルートが主だが、車利用なので、この感慨には達せられない。

 

【一言アドバイス】

このお寺にも「結縁厄除坂」と名付けられている階段がある。楼門から上に段数は210段だが、驚くほどの急階段である。街の中にあるからと侮ってはいけない。往復利用となるので、足下はしっかりと準備を。駐車場は参道近くに、街場と同じコイン式が数カ所あり、心配は要らない。

結縁厄除坂

 

第3番札所・粉河寺

めぐみもふかき「粉河寺」

紀三井寺から車で和歌山市内を抜けて走ること1時間弱で第3番札所の「粉河寺」に着く。暑かったので、大門に一番近い駐車場に車を留めた。大門から本堂までは結構な距離だが、丁寧に掃き清められた参道、手入れされた境内の風景に飽きることはない。

粉河寺(大門)

粉河寺は平安時代から病気平癒などで霊験あらたかな観音寺院で、貴族や庶民達の厚い信仰の的だった。面白いのは、この寺は国家や有力氏族などの資金によって創建されたのではなく、地元の人々の信仰心と寄進により造られ、以後も発展してきたことである。「地方創生」の総本山のような寺である。ご本尊の千手千眼観音は、本堂地下に安置されており、絶対秘仏で開帳された前例がないというから、更に興味が湧く。

その粉河寺の繁栄は、本堂の規模に見られ、西国33カ所寺院のなかでも最大級である。また安土桃山時代には、寺領4万石、4キロ四方の境内に550の坊舎があったというから、さらに驚きが増す。境内は今も約3万坪あると聞いたが、広さとともに印象的なのが景観美であり、国の名勝にも指定されている。その庭石は、表現のしようがないほど素晴らしい。

本堂

参道に沿って流れる長屋川(粉河)と、その背景の伽藍の眺めも必見である。中門と大門が直列する伽藍構成であり、全国的に珍しいといわれている。とにかく手入れが行き届いた綺麗な境内では、時宜に応じた花々が芳香を放っている。このお寺ならこそ「観音浄土」として、巡礼者や参拝者の信仰心に応えられ、地元の人々が他に誇れる古刹「心のふるさと」であり続けてこられたのだと納得ができた。

中門

父母の 恵みも深き 粉河寺・・・ご詠歌の意味がストンと腑に落ちた。

【一言アドバイス】

境内や庭園の素晴らしさに目を奪われ、参拝を忘れてしまうほど見事な景観である。参道もゆるやかなので、ゆっくりと見学ができる。花山法王のほか、藤原頼通、鳥羽法皇などの権力者たちも数多く訪れており、清少納言の「枕草子」や西行の「山家集」のほか「源平盛衰記」などにも粉河寺の名前が出てくる。本堂手前の庭は、上田宗箇(安土桃山時代)の作庭。紀州特産の巨大な青石とソテツの組み合わせは、南方の補蛇落(ふだらく)のイメージなのだろうか。歴史をたどりながら鑑賞すると面白さが増す。

庭園

 

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