ムラサキの花に魅せられて

◆24節気の芒種(ぼうしゅ)は梅雨の前半と重なる。雨をいやがる人は多いが、植物は栄養ドリンクを飲み干したかのように生き生きと育つ。芒(のぎ)のある植物が特にそうだ。先日、NHKのカメラが初めて「ラベンダーパーク多可」に入った。5haの敷地に3万本のラベンダーが植えられているが、6月上旬に見頃を迎えたのはストエカス系の品種であり、チョウチョのように可愛い花を咲かせている。

◆流石にNHKである。「ウイークエンド関西」という土曜のテレビ番組に加えて、ラジオでも紹介されたら、来場者は一気に増えた。『NHKで取り上げられてこそ本物』と聞かされた課題が実現した。翌週には神戸新聞「早咲き品種、ムラサキに色づく」の紹介記事も・・・。実にマスコミの力は大きい。情報のパイと信頼のパイが圧倒的に違うのだ。地域の魅力発信にはマスコミの活用は欠かせない。

◆北播磨や丹波の地域には様々な取り組みがある。伝統行事も多いし、新規のユニークな企画も目白押しだ。行政の大イベントはいつも賑わいがある。予算措置のうえに広報利用とマスコミ発信があり、大概が定番化されているからだ。

◆地域の中小イベントは関係者だけが外部へのPRに躍起になるものの、多勢に無勢だ。ネット上での発信も盛んになってきたが、なかなか成果に繋がっていない。情報発信に量的限界があり、1T活用も方向性が定まらずに空回りをしているのだ。

◆『情報は発信すればするほど、新しい価値情報の仲間を連れて自分に戻ってくる。』FB(フェイスブック)に出会って得た経験則だ。バーチャル(仮想)が現実化することもある。FBをやっていなければ「アンド・スマイル」は身近ではなかったかもしれない。多くの可能性を秘めるICT分野だが『地域の共創』に有効に使えないだろうか。

◆「地域情報のプラットホームがあれば可能だ」と考えたのは私だけではなかった。タウン紙は地域の細やかな情報の宝庫だ。そのタウン紙は活字媒体とともにネット上のプラットホームたり得るのではないか。これこそタウン紙の果たすべき新しい使命(方向)なのだ。「すみれ編集長」と、またしても意見が合った。

◆7月上旬、西日本一の規模を誇る「ラベンダーパーク多可」は、芒を持つラバンジン系のラベンダーが山麓をムラサキ色に染める。南仏プロバンスと同じく、芳ばしい香りを一帯に漂わせながら・・・。

 

ふるさと未来塾 主宰 戸田 善規さん(前・多可町長)

 

コラム 多可町