エルマーのぼうけん【図書館からおすすめの一冊】


 
新たな年を迎え、新鮮な気持ちで名作と言われる物語を改めて読んでみるのはいかがでしょう。
 
「エルマーのぼうけん」は、一九六三年の刊行から五〇年以上も読み継がれているロングセラーの物語です。
 
ある冷たい雨の日、エルマーは年老いたのら猫に出会い、物語は始まります。エルマーの将来の夢は飛行機で空を飛ぶこと。これを聞いた猫は「どうぶつ島」に捕らえられているかわいそうな子供の竜のことをエルマーに話します。
 
猫の話を聞いて、エルマーは竜を助けに行くことを決めます。早速猫に持っていく物や「どうぶつ島」のことを教えてもらい、旅の準備に取り掛かります。エルマーがリュックに詰めたものは、チューインガム、桃色の棒付きキャンデー二ダース、輪ゴム一箱、黒いゴム長靴、磁石一つ、歯ブラシとチューブ入り歯磨き、虫眼鏡六つなど。
 
そして、「どうぶつ島」へ繋がる「みかん島」行きの船に忍び込んだエルマーは、六日六晩かけて「みかん島」へとたどり着きます。「みかん島」でみかんをリュックいっぱいに詰め込んで、夜の間に「どうぶつ島」へ。
 
「どうぶつ島」に着くとすぐに竜が繋がれている川を探しに、気味の悪いジャングルの中を歩いていくエルマー。ジャングルでは、ねずみや、かめ、いのしし、とら、さい、ライオンなどに次々と出くわします。お腹をすかせた動物たちに食べられそうになりながらも、持って行った道具を駆使して危険をくぐり抜け、見事竜を助け出します。
 
おすすめは、エルマーがチューインガムなどを使って動物たちの危険を次々とかわしていくところ。まんまとしてやられるちょっぴり間抜けな動物たちの姿も可愛らしく、エルマーになった気分で冒険を楽しむことができます。また、エルマーの勇敢かつ前向きな行動、そして決してあきらめない強い心は、読む者に勇気を与えてくれます。ぜひあなたもエルマーの冒険を体感してみてください。

 
小野市立図書館
藤岡 揚子

 

書籍情報

『エルマーのぼうけん』
ルース・スタイルス・ガネット/作
わたなべ しげお/訳
ルース・クリスマン・ガネット/絵
福音館書店
 

コラム 小野市