月の影 影の海 上・下【図書館からおすすめの一冊】

 

 

 

『月の影 影の海』は、小野不由美さんのファンタジー小説「十二国記」シリーズの一つで、本編最初のエピソードとなる作品です。

どこにでもいる普通の女子高生・中島陽子の前に「ケイキ」と名乗る金髪の青年が現れ、物語は始まります。「ケイキ」に連れられ異世界にたどり着いた陽子は、「ケイキ」とはぐれてしまいます。そして見知らぬ土地で、異形の獣たちに襲われ、出会う人に裏切られます。唯一の持ち物である剣が陽子を守ってくれるのですが、幻を見せて陽子を精神的に苦しめます。

裏切られ、生と死の間で揺れながら、それでも生きようとする陽子の強さと、陽子が自分の心を見つめ直し、成長していく姿に胸を打たれます。
「世界も他人も関係ない。胸を張って生きることができるように、強くなりたい。」

苦しい旅の後半、陽子は親友となる半獣の楽俊と出会います。そこから一気にいろいろな真実が明かされていき、陽子がなぜこの世界に連れてこられたのかという謎が解けていくのです。

何度も読みたくなる本です。

「十二国記」シリーズには、陽子の話以外にも読み応えのある話が揃っています。十二国は、天意に従って神獣の麒麟が王を選び、その王がそれぞれの国を治める世界。そこに魅力的な人物が多数登場し、物語の中に私たちを引き込んでいきます。

2019年秋、待望の新刊が出版されました。18年ぶりの書下ろし新作です。再び十二国の物語が動き始めました。

この機会に「十二国記」シリーズを読んでみてはいかがでしょうか。

三木市立青山図書館 渡邉文子

書籍情報

月の影 影の海 上・下

小野 不由美/著

新潮社

 

コラム 三木市