『ノラネコぐんだんと海の果ての怪物』【図書館からおすすめの一冊】

工藤ノリコさんのノラネコぐんだんシリーズは、ノラネコ8匹のいたずらをコミカルに描いた作品です。いつも、欲望のままに行動して最後には「ドッカーン」と汽車やパンの窯を爆発させてしまいます。「こんなことをしてもいいと思っているんですか」「いいと思っていません」「ニャー」「よろしい。それじゃ これからしごとをしてもらいます」やってはいけない事と、反省と償いがうまく描かれ、思わず苦笑いしてしまいます。

そんなノラネコぐんだん作品に突如として現れた、絵本ではない小説!?「ノラネコぐんだんと海の果ての怪物」題名に漢字が入り、少し高学年向けに書かれている感じです。でも、冒頭には作者から、いままでの作品より少し難しくなった本の読み方やアドバイスが添えられており、ちいさな子ども達も読むであろうことを念頭に考えられた、ステップアップにはもってこいの本だと思います。

この作品ではノラネコぐんだんが波うちぎわで「虹いろに光る貝がら」を拾うところから始まります。その貝がらは水を入れてひとくち飲めば、海の中を自由に歩き回れるというものだったのです。海の中を自由に動き回れるようになったノラネコぐんだんは魚を粗末にするようになりました。その振る舞いが海の王様の逆鱗に触れ、裁判にかけられ、「3匹は煮て、2匹は焼いて、残りの3匹はお刺身にしてたべることにする」と判決がくだされようとした、まさにその時、海の王様の娘であるお姫様が海の果てに住む怪物にさらわれたと家来が報告に来たのです。この怪物は海に住む者には倒せないという言い伝えがあり、処刑をまぬがれた、陸からの使者「ノラネコぐんだん」がお姫様を助け出すという使命を受けます。様々な生き物の助けを得ながら、最終的に怪物を倒します。

こんなすばらしい工藤ノリコさんの作品や、年齢を問わず魅了する児童書が加西市立図書館には充実しています。絵本・児童書はこどもの本だと決めず、大人の方のご利用もお待ちしております。

加西市立図書館 伊賀友紀

書籍情報

『ノラネコぐんだんと海の果ての怪物』

工藤ノリコ/著

白泉社

 

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コラム 加西市