大どろぼう ホッツェンプロッツ【図書館からおすすめの一冊】

 

カスパールのおばあさんが家の前のベンチに腰をかけコーヒーをひいていると、目の前に見知らぬ男が立っていました。黒いひげをもじゃもじゃはやし、広いつばの帽子に赤い羽根をさしたその男の名はホッツェンプロッツ。世にも恐ろしい大泥棒です。

その大泥棒がおばあさんに何の用かというと、ハンドルを回せば歌を奏でるというめずらしい新式のコーヒー挽きを奪いにやってきたのです。おばあさんはもちろん拒みますが、ホッツェンプロッツは容赦なく持ち去ってしまいます。

そのいきさつを聞いたカスパールとその友だちゼッペルは、大切なコーヒー挽きを取り戻し、ホッツェンプロッツを捕まえるため、ある作戦を実行します。事はうまく運ぶかにみえたのですが、そこはやはり大泥棒!ホッツェンプロッツの方が一枚も二枚も上手。反対に罠にはまり捕まってしまいます。

さらにカスパール達は、魔法使いに売り飛ばされるわ、召使いとしてこき使われるわで、最後までハラハラドキドキの連続です。さあ、この窮地、カスパール達は一体どうやって脱出するのでしょうか。

 

物語は章仕立てで構成されており、テンポよく場面が転換していきます。少年カスパールとゼッペルが知恵と勇気を振り絞り、悪党に立ち向かっていくその姿は読み手をどんどん物語の中に引き込んでいきます。また、所々にほどこされた挿絵とそこに書かれたメッセージもさらに読み手の想像力を掻き立てます。

 

オトフリート=プロイスラーは、もとは小学校の先生で、面白いお話をつくっては自分の子どもや教え子達に聞かせていたようで、1962年にドイツで発表されたこの作品はたちまち子どもたちの間で大人気となりました。そしてその四年後には日本でも出版され、50年を経た今でも多くの子ども達の心を捉え続けています。

 

多可町図書館 依藤 啓子

 

書籍情報

「大どろぼうホッツェンプロッツ」

オトフリート=プロイスラー/作

偕成社

 

コラム 多可町