海べのあさ【図書館からおすすめの一冊】

初めて乳歯が抜けた日の事を覚えていますか?これは、海べの島で、お父さん、お母さん、
妹といっしょに暮らすサリーという女の子の、初めて乳歯が抜けた記念すべき一日をえが
いた心あたたまるお話です。
 
いつものように朝おきて歯をみがく時、一本の歯がぐらぐらしていることに気づいたサリー。
彼女にとっては一大事です。お母さんから、抜けた歯を枕の下においてお願い事をすると
かなうことを教えてもらい、とっても楽しみにしています。サリーの子どもらしい驚きや
わくわくした気持ちがていねいに表現されています。お父さんのお手伝いをするために
海岸にむかう途中で、出会う水鳥やアザラシに話しかけたり、ぐらぐらした歯を見せたり
していたのに、砂浜でハマグリを掘っている間に、なんと気がついたら歯がなくなっていて…
がっかりするサリーにお父さんが優しく声をかけます。サリーは「あたしの歯をみつけた
ハマグリが、あたしのお願いしたものをもらっちゃうかも」と、かわいい心配をしながらも
いろんなことを前向きに考えます。そのあと、お父さんと妹と3人でボートに乗って港まで行き、
出会う人出会う人に歯が抜けた話をして口の中をみせるサリー。まわりの大人たちは
あたたかい反応をしてくれます。本当にみんなに愛されて、子どもらしく一生懸命成長
していくサリーの姿に、何度読んでも幸せな気持ちになる、そんな絵本です。
 
画面いっぱいに広がる風景や人物の描写も素晴らしいです。他のマックロスキーの絵本『
かもさんおとおり』『サリーのこけももつみ』などもあわせてお楽しみください。
 
三木市立吉川図書館 三藤文子
 

書籍情報

「海べのあさ」

ロバート・マックロスキー/文・絵  
石井桃子/訳     
岩波書店

 

コラム