モリー先生との火曜日【図書館からおすすめの一冊】


 
大学を卒業したミッチは、ミュージシャンになるために努力を重ねましたが世間の誰もが興味をしめしませんでした。そんなある時、大好きだったおじが病気で亡くなりショックを受けたミッチはミュージシャンの夢をあきらめ、デトロイトでスポーツライターとしてがむしゃらに働き、やがて地位と名声をつかみます。
 
ある日、ミッチは深夜番組で聞き覚えのある名前を耳にします。それは、大学を卒業して以来会っていないモリー・シュワルツ先生の名前でした。ミッチはモリー先生が命に関わる病気になっていることを知り、16年ぶりに会いに行きます。久しぶりに出会うモリー先生は昔と随分違っていました。顔はやつれ、髪は白くなり、苦しげな息づかい。それでもモリー先生は、ミッチを歓迎してくれました。
 
モリー先生は自分に残された時間に対して最善をつくそうと考えていました。自分を人間教科書にして、これから自分にどんなことが起きるのか、私から学んでほしいとミッチに伝えます。そして、モリー先生とミッチの授業が始まります。毎週火曜日、モリー先生の自宅で行われる授業のテーマは、社会、家族、欲望、老いそして人生の意味。先生がミッチに問いかける問答形式によって、それぞれのテーマの内容が深められていきます。
 
授業を重ねるごとに、モリー先生は徐々に衰えていきます。そんな先生との間で交わされた言葉の数々は、ミッチの心に響き、深く刻まれるのでした。
最後に、モリー先生はミッチにどんな思いを伝えたかったのでしょうか。
 
春は、巣立ちの季節です。先生は生徒の巣立ちを温かく見守り、何年経ってもその関係は変わりません。そして、モリー先生とミッチのように再び出会う機会があったなら、それは心に残る素敵な時間になるのではないでしょうか。
 

 
多可町図書館
藤岡 千穂

 

書籍情報

『モリー先生との火曜日』
ミッチ・アルボム/著
別宮 貞徳/訳
NHK出版
 

コラム 多可町