悠久のシルクロード 烏魯木斉(ウルムチ)・吐魯番(トルファン)・敦煌(トンコウ)・西安をめぐる(旅好きケンおじさん徒然旅日記)

中学生の時教科書で読んだ「あすなろ物語」。全文を単行本で読み切ってから、井上靖にはまり、読みあさっていた青春時代。「蒼き狼」の舞台モンゴル、そして「敦煌」「楼蘭」の舞台シルクロード。いつしか、その物語の舞台に行ってみたいと、憧れるようになっていました。

60才で定年退職して時間に余裕ができた頃、当時29才の息子が還暦と退職のお祝いをしたいと言ってくれました。思い切って「シルクロードに一緒に行ってほしい」とねだってみたところ、「行ってもええで」との返事。なんと、息子のプレゼントで二人旅。交通機関、ホテルなどすべて息子が手配をしてくれるという有難い旅となりました。

8月下旬、関西空港で息子と待ち合わせ、中国東方航空の青島経由西安行に意気揚々と乗り込みました。青島までは3時間、入国手続き後更に西安まで2時間10分の予定でしたが、青島の入国手続きに時間を要し、西安での乗り継ぎに間に合わなかった上に、なんと西安とウルムチ間は3時間40分もかかるフライトで、ホテル到着は24時を回ってしまいました。国内線で3時間40分は日本の最長定期便に匹敵(札幌→那覇、全日空で飛行時間3時間55分)します。

「楼蘭の美女」に会ってきました

ホテル近くの食堂で、地元の人が食べている食事を指さしで注文して、朝食は完璧。「地球の歩き方」を見ながら新疆(シンキョウ)ウイグル自治区博物館を目指して移動。日本からのツアーと一緒になって、その前後を何気なく進みました。2階に上がるとそこはミイラの展示室で、数体のミイラが、普通にアクリルケースの中に横たわっていました。楼蘭の美女も、まるで3800年前の姿を想像させるかのようで、感激しました。

ウルムチ時間にご用心

中国は北京時間を標準にして、広い国土を1つの時間で統一しています。ここウルムチは北京から離れること西に2400km、標準時東経120度と比べると西に32度、太陽の出入りが2時間以上遅れます。そこで、たまにウルムチ時間で表記されることがありますので、ご注意ください。

11時過ぎに博物館を後にした私たちは、近くのレストランで食事にしますが何か変です。テーブルには仕込中の材料、店員はリラックス。私たちを見てあわてて、テーブルクロスやコップなどをセットします。そうです、ウルムチ時間ではまだ午前10時前なのです。こんな時間に来る現地の客はいません。そんなことも構わず、ビールと料理を3皿注文しましたが、量の多さに驚き、3分の2は残してしまいました。

ウルムチの人口250万人以上、どこも人、人、人

タクシーを捕まえるにも、現地の人との競争。

駅もすごい人。ウルムチからトルファンに向かう新幹線。1時間前に駅に着くも、慣れない所で、安全検査やら購入方法がわからず、もたもたしているうちに、切符購入の長蛇の列が進まない。10分前、これはアウトか!息子が列から離れ、女性の駅員さんを連れてきて、順番を飛ばして、先に切符を発行してもらった。並んでいる人のブーイングは駅員さんに任せ、走って改札をくぐり、何とか間に合いました。

ところで、乾燥地帯なのに、311万人の水源はどうなっているのかと、気になりながらウルムチを後にしました。

トルファンのおすすめ「ベゼクリク千仏洞」

今日は、日本で予約した運転手付専用車での1日です。流暢な日本語を話す運転手さん。ブームの時は大変忙しかったようですが、今は暇だとか。中国人相手の方が多いようです。

その案内で、最初にベセクリク千仏洞に行きました。6世紀から13世紀にかけてつくられたという、川沿いの弓型の断崖に築かれた石窟寺院。日干し煉瓦で洞窟を造り、窟頂をドーム型にする建築様式ですが、こんな断崖によくも作れたものだ!と驚くばかり。壁画の多くはすでに破壊されたり切り取られたりで多くは残っていませんが、数窟見ることができました。

敦煌「莫高窟(ばっこうくつ)」西安「兵馬俑坑(へいばようこう)」ともに中国人でいっぱい

世界遺産の両施設。入場料が250元(約4,500円)、150元(約2,700円)と結構な値段ですが、祝日のある週のせいかもしれませんが、中国人でいっぱいでした。

敦煌市内で予約チケットを購入した莫高窟では、中国人は並んで入場を待っていますが、日本語の方は私たち2人だけなので、他の日本人が来るのを逆に待って入場する状況でした。

兵馬俑坑では、まず西安の駅からバスに乗るために並ぶこと約1時間。大勢の人の中、入り口付近で券を購入するのを手伝ってくれた日本語ガイドに誘われて、引き続きのガイドを依頼しました。1号坑、さすがに圧巻。本物はすごいです。しかし人が多すぎて、前の人の肩越しにしか見えません。「別料金で特別席から見えるよ」とのガイドの案内で、一般エリア一段下の特別エリアに移動すると、ゆっくり見ることができ、記念写真まで撮れて大満足でした。兵馬俑はほとんどが破損された状態で、かけらをジグゾーパズルの如く復元したものだそうです。その労力、根気に脱帽です。

ガイドと共に回った最後は、食堂で昼食の注文までしてもらいお別れでした。

どこでも「安全検査」

空港で行われる「安全検査」は、通常、荷物と飲み物、身体の検査です。

今回の旅行では、空港だけでなく、鉄道駅、博物館、ショッピングモール、その他主要な建物はすべて安全検査があります。飲み物は、入るまでに飲みきるか、預けるか、没収。他は、空港と同じ検査です。ライターもアウト。この状況を見ていると、日本の危機管理の甘さを感じます。

 

とにもかくにも、学生時代からの憧れだったシルクロードは、息子と一緒だったことも手伝って大満足の旅となりました。

敦煌鳴沙山

 

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