眼のお話 (サファリパークからこんにちは!~姫路セントラルパーク~)
肉食獣の眼は顔の前にあることから立体視ができ、奥行きを感じることが可能で、獲物との距離を正確に測れます。狙われる側の草食獣は、頭の側面に眼球が位置する事により、立体視は狭い角度になりますが、広範囲を見ることが可能で、外敵の早期発見に役立ちます。特にウサギは355度の視野があり死角は無いといってよいでしょう。ちなみに人間は200度ほどです。
眼球の大きな動物はダイオウイカで、人間の頭より大きく直径50cmと言われています。体の大きさを考慮すると納得できますが、体格に反して大きな眼球を持つ動物がいます。(余談ですが、世界最大の哺乳類のシロナガスクジラの眼球は直径11cmと意外と小さいです。)
メガネザルという体重100gほどの小型のサルは、眼球1つで3gあり、これは自身の脳の重さとほぼ同じ重量で、頭蓋骨には脳と眼球2個で一杯一杯になっています。眼球が大きすぎて、眼窩との隙間が無くほとんど動かせない状態のため、代わりに首を180度後ろまで回すことで補っています。
陸上の脊椎動物で眼球が一番大きいのはダチョウです。直径5cm、重量60gで、脳の重量が40gなので1.5倍もあり、眼球の隙間に脳がある状態です。大きいだけに視力は5㎞先が見えるといった説もあります。ちなみに人間の眼球は直径2.5cm、重量約7g、脳の重量は1500gですので、やはりダチョウは視力重視の生物なのかもしれません。
水中にも視力重視の魚がいます。ヨツメウオと言いますが、眼球が4つあるのではありません。眼球を横切るように特殊な仕切りがあり、水上と水中を同時に見ることが出来ます。つまり、目の上の部分は空気中の光を、下の部分は水中の光を見るのに適した構造になっており、眼球の上半分だけを水上に出して泳いでいます。これは外敵や餌の発見に役立っているものと思われます。
ニュージーランド原産のムカシトカゲは、額に第3の眼を持つ動物です。「頭頂眼」と呼ばれ、本来の眼とよく似た構造ですが、映像を感知することは出来ません。光に反応する事が可能で、太陽の位置を測定する器官のようです。頭蓋骨を確認すると額の部分に小さな眼窩まで確認できます。非常に珍しく感じるかもしれませんが、ウシガエル、ヘビの仲間にも頭頂眼があるそうです。姫路セントラルパークにも爬虫類館がありますので、興味がある方は観察するのも良いかもしれません。
もう一つ、爬虫類の眼の興味深い話をしたいと思います。アメリカ原産のサバクツノトカゲは眼から武器を発射させます。天敵のイヌ科動物に襲われると、敵の眼をめがけて眼球から血液を1mも噴射させるのです。(レーザー光線だったらカッチョイーと思うのですが・・。チョット残念です。)この血液には、天敵が嫌う成分が含まれており、主食であるアリから取り入れられているそうです。(想像ですが、蟻酸なのかな?)1回に体の30%の血液を使うため、命がけの回避行動といえますが、2日続けて襲われたら貧血でフラフラどころではないでしょう。