だるまちゃんとてんぐちゃん【図書館からおすすめの一冊】
子どもの頃、友達が持っているものをうらやましくて欲しくなった経験ってありませんか。このお話もまさにそう。
主人公のだるまちゃんが、お友達のてんぐちゃんとあそんでいると、てんぐちゃんが珍しいものを持っていることに気がつきます。それは、てんぐのうちわでした。
「てんぐちゃんのようなうちわがほしいよう」
家に帰って、だるまちゃんは言います。それを聞いただるまどんが、たくさんうちわを出してくれますが、なかなかだるまちゃんの欲しいうちわは見つかりません。だるまちゃんは考えているうちに、いいことを思いついて…。
うちわ、ぼうし、はきもの、ついには、てんぐちゃんのようなながいはなまで。てんぐちゃんの持っているものを欲しがるだるまちゃんと、それに応えようとありったけのものを出してくれるだるまどん。
だけど、その中にだるまちゃんの欲しいものはなくて…。特に、ながいはなを欲しがっただるまちゃんと、だるまどんのやりとりがなんともかわいらしくてほほ笑ましいのです。
そして、てんぐちゃんの持っているものに見立てたものを、てんぐちゃんに見せるだるまちゃん。いつだって、てんぐちゃんは、そんなだるまちゃんの持っているものを褒めてくれます。このふたりのやりとりも、やっぱりかわいらしくてほほ笑ましい。読んでいて優しい気持ちになれる、そんな一冊です。
うちわ、ぼうし、はきもの、てんぐちゃんのようなながいはな、アイデアを駆使して、それぞれをどう見立てるのかにも注目してみてください。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』は「だるまちゃん」シリーズの第一作目にあたるお話になります。刊行から半世紀以上経った今なお、時代を越え、世代を超え、読む人の心に響く何かが、そこにはあるのではないでしょうか。
他にも、個性豊かなお友達と楽しい遊びが登場するお話が『だるまちゃんとかみなりちゃん』をはじめとするシリーズで描かれていますので、そちらもおすすめです。
小野市立図書館
荒木 彩
書籍情報
『だるまちゃんとてんぐちゃん』
加古 里子/さく・え
福音館書店